それは何気ない言葉からだった。

「アンの髪って気持ちいいよな。」

特に気にも止めてなかったけれど。

「俺、長い髪のアンも見てみたい。」

弟を見守るのも姉の務めなら

「絶対似あうぜ。」

弟の我儘を聞くのも姉の務め・・・かな?

 

〜Dear girl〜

 

アンが髪を伸ばしてみて数カ月、
ずっと短かったので最初は勝手が行かなかったが、
イゾウにも手伝ってもらい、
長い髪の生活にも慣れてきていた。

今日は数カ月ぶりに、ルフィ達に会う日で、
いくら姉弟といっても海賊同士
そうひんぱんに会うわけにはいかない。

ただ前回会った時のルフィの一言で、アンが髪を
伸ばしてみる決心をつけたのも事実

その言いだしっぺに、見せてやろうと
会う約束をつけたのだった。

「フフ、一体どんな顔するかな アイツ」

長く伸びた髪を少し手に取り、
クルクルと指に巻き付け待っていると。
遠くから、馬鹿デカイ声を出して
向かってくる奴がいる。

「おーーーーーい アーーーーーン!!!」

     馬鹿野郎

「デカイ声を出すな!」
「ぶへ!!」

突進してくる弟を自慢の拳で殴りつける。
普通の人間ならば、気絶ではすまないが、
ゴム人間であるルフィなら、これくらいで
倒れない事は承知している。

「何すんだよ アン」

なんともなかったように、置き上がるルフィ

「バカ!他の船員達に迷惑だろうが!」

ルフィに負けない位の大声で叱るアン
お前も十分にデカイよっと他の船員達が思っているに違いない。

「それよりルフィ・・・何か言う事無いのかよ・・・」

少し照れたように、後ろに腕を組んで、
髪を右肩から降ろし、その伸びた髪を、
ルフィに魅せつける。

「お・・・う」
「なんだよ他に言う事無いのかよ。」

呆けた顔をしたルフィが、アンを見上げ、
数ヶ月前にみたアンとは、まるで別人のように
立ち振舞っている姿に見惚れていた。

「き・・・似あってるじゃねぇか。」

ルフィは無意識に被っていた麦わら帽子を、
目深にかぶり、火照ってった顔を
見られまいとした。

「それだけか?せっかく伸ばしたのに・・・」

そんなルフィの変化など気付かずにアンは、
喜ぶルフィの顔を期待していただけに、
少し残念な気持ちになってしまい、
はぁと溜息をついた。

「おぉ アン 随分と綺麗になったじゃないかヨイ」

タイミングを見計らっていたかのように
マルコがルフィの背後に立っていた。

「そんな、マルコは毎日見てたじゃない。」

「昨日と今日は違うだろうヨイ」

突然のマルコからの賛辞にアンは驚いていた。
本当に毎日顔を見合わせているけれど、
その間に「綺麗」などと言われた事は無かったからだ。
別に言われたかったわけではないが、

今は何故か   鼓動が   大きく聞こえる

「おっさん・・・アンに手ぇだすなよな。」

アンに聞こえないように言いながら、
立ち上がるルフィ、
目深に被った帽子をかぶり直し
マルコと対峙すると、負けじとマルコも
ルフィの左肩を掴み、小さくルフィだけに聞こえる声で

「ルフィ・・・お前にはまだ早いヨイ。」

言い終えると掴んだ右腕に力を込めた。
その力強さにウっと声を漏らすも、
ルフィも負けじとマルコの左肩を掴み力を込める。

「おっさんにだって、まだ早ぇよ。」

互いに一歩も引かずに力を込め続けると、
ようやくその異変にアンが気付き、
2人の元へ駆け寄るが。

「ルフィ!マルコ!何してるのよ!」

慌てて2人を引き離そうとするも、
どちらもその力を緩めない。

「黙ってろヨイ アン 今こいつに口の聞き方を教えてやるヨイ。」
「へぇそうかよ・・・やってみろよ・・・オッサン!」

益々込める力が強くなり、ここで決闘とも
言い出しかねない、
誰かに止めてもらおうと思い、
周りを見渡すが、他の船員達は
それを盛り上げるかのように声を上げ始めた。

こうなっては、いくら2番隊隊長と言えども、
沈めるには時間がかかし、
本気になってしまっては、自らの能力で
この船を燃やしかねない・・・

   大事な オヤジの船を 

「グララララ なぁに盛り上がってるんだぁ
 息子たちよ。」

アンはその頼もしい声に安堵し、振りかえると、
オヤジがゆっくりとこちらへ向かって歩いているが、
なるべく歩かせまいと、アンは自らオヤジの元へ駆け寄り
その身を心配した。

「オヤジ 大丈夫なのか?」

アンが心配するのも無理はない、
今白ひげは、酸素呼吸器や点滴の類を
一切付けていなかったからだ。
だが、そんなアンの心配をよそに、
白ひげは高らかに笑って見せた。

「グララララララ 心配するなぁ
 今日は調子がいい それよりアン。」

アンは何だろうと思い顔を上げると、
そこには空を覆い尽くす程のオヤジの大きな手があり、
そっとアンの頭に触れた。

「似あってるぜぇ アン」

       大きな身体
      大きな手 
      その身に刻まれた
     無数の傷 
         
     対称的に
       表情は穏やかで
        触れた手は
         柔らかく
      静かに撫でた力は
        優しい

「い・・・いきなりなにするんだよ オヤジ」

短い時も良く撫でられていた
長くなってもそれは変わらなかったのに

今は・・・・・・何故か・・・・・・

能力を使っている訳でもないのに、
自分の体温が上がっているのを感じ、
慌てて何かを被りたくなったが、
今日は長く伸びた髪を見せるために、
いつもの帽子を
部屋に置いてきてしまったのだ。

『そう言えばさっきルフィも・・・』

先程ルフィが目深に帽子を被った事を思い出し、
また余計に身体が熱くなり、顔が火照る。

「んん?アン 顔が赤いぜぇ。」

愛娘の変化に気づき、片ほほを上げながら
ニヤリと笑う白ひげ。
彼ほどならば心境の変化を察するなど
容易いのだろう。

「もういいだろうオヤジ。」

小馬鹿にされたと勘違いをしてアンは
ますます熱くなり、今にも火が出そうな思いの中、
白ひげが再び高らかに笑い始めた。

「グララララララララ」

そのやりとりを見ていたルフィとマルコは、
いつの間にか蚊帳の外となっている事に気づき、
どちらかとなく掴む手を離しており、
2人の中に先程までの闘争心は無くなったが、
変わりに小さな敗北感が、胸の中に植えつけられた。

「はぁ・・・オヤジには、まだ敵わないかヨイ。」

頭を掻きながらマルコは、オヤジとアンの元へ
歩み寄るが、残されたルフィは、
少し不貞腐れたような顔をしたと思うと
大声で叫び始めた。

「白ひげのおっさん!俺と勝負しろ!!!」

「グラララララ ハナッタレがぁ 」

今度はルフィと白ひげの対決か?と
周りは囃し立てる中、
炎がゆらめき、ルフィ目掛けて飛びこんで行く。

「熱ぃ!何すんだよアン!」

「馬鹿かお前は!それにオヤジを倒すなら・・・
 まず私に勝たないとな ルフィ!!!」
 
突然始まった姉弟喧嘩に周りは、止めるどころか
ようやくかと思いながら、どちらが勝つか負けるかの
賭けをし始めた。
しかし、その中でアンの変化に気づいているものなどいない。

   紅蓮の炎に身を包んだ彼女が
 少女のように顔を紅潮させている事など・・・

 

 

白ひげ事エドワード・ニューゲートは、
目の前で繰り広げられている、アンとルフィの
喧嘩を懐かしむような眼で見ていた。

そして・・・遠い昔の・・・記憶へ思考が沈む

『ニューゲート!しっかり見届けろよ!』

誰も知らない島で

『おいおい、俺なんかでいいのかよロジャー。』

誰にも知られず

『私からもお願いします。どうか・・・見届けて下さい。』

誰にも祝福されず

『グララ わかったよ。』

誓いを立てた2人・・・


わぁっと歓喜の声があがり、
白ひげは過去の記憶から、浮かび上がると、
何が起きたのかを確認してみた。
そこにはルフィが横になりながら、
畜生と大声で叫び、
アンが勝ち名乗りを受けたのだろう。
白ひげの方を向き、片手を上げて
大きく手を振り太陽の様な笑顔を向けていた。

「オヤジーーー!勝ったぞーーー♪」

手を振る度に、天然のウェーブがかかった、
長く伸びた黒髪が
フワリと浮き、日の光を受けて、
艶やかな光沢を帯びていた。
その綺麗な姿はまるで・・・

『グララララ ロジャーよ・・・安心しろ。お前の娘は、
 ルージュに似て・・・綺麗な娘に育ったぜぇ。』

 

−−−−−−−−−− END −−−−−−−−−−−

 

 

〜後書き的なモノ〜

初めましてwhome_takeと申します。
この度は手ブロでお世話になってる
likelilyさんへの贈り物です♪。

素敵なネタを下さったので、
突発的に書きたくなりましたw
4時間位+手直しで書いたので
多少雑かもしれません orz

 

思ったら・・・ホルホルネタも初めてですが
白ひげ海賊団を書いたのも初めてでしたw

最初書いていた感じでは
アンちゃんが可愛い感じで
終わりは皆照れるのもいいなぁって
思ってましたが。
妄想膨らませるうちに
アンちゃんの髪が長くなるんだよなぁ
母親に似るんだろうなぁ・・・
きっと白ひげも会った事があるだろうし・・・
むしろ立会人でもしてるなら!?
などと勝手に思った結果・・・
こうなりましたw

まぁ個人的に白ひげが好きなので、
書きたい事もありましたがw

最初とは着地点がちょっと違いましたが
書いていて楽しかったです♪

ここまで読んでくれた方々
ありがとうございました♪
(*- -)(*_ _)ペコリ
 

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