とある島での出来事〜ルフィナミ編〜


偉大なる航路のとある島に
麦わら海賊団は停泊をしていた。
ちょうど大きな街があったので、
船員達は各々用事を済ませることにした。
心地よい風が吹き、海鳥の声も軽やかだ。

街には様々な文化が入り混じり、
衣装や装飾品の数々が女性の目を楽しませている。
そんな中、意気揚々と歩いている女性が一人
着ている服が、彼女の行動力を支えているといってもよく、
とくに着飾らずに、流行のdosukoiパンダの
Tシャツと、藍色のショートパンツのみである。

「ねぇルフィ これ可愛いと思わない?」

"航海士"ナミ
彼女のおかげで、この一味は航海できているに等しい
もし彼女が倒れたら・・・それは大変な事になるだろう。
もちろん航海士という点で言えば、彼女は天才的で、
それ以外にもう1つ、財政管理にかけてもそうだ。
この一味は大食いが多くて困るのが、彼女の悩みの1つだが、
その元凶の1人が彼女が問いかけた本人

「んあ?ん〜良いんじゃないか?」

"船長"モンキー・D・ルフィ
彼がこの一味の船長であり、一番の大食い。
一日5食 1人で10人前は食べる。

二人は今カジュアルな洋服店の中にいる。
色々と服を物色していると、

「なぁナミぃ、早く肉買いにいこうぜぇ」

停泊する島に街があれば、ナミは各クルーに
わずかならが、お小遣いをあげているが、
もっぱらルフィが買いにいくのは肉か名物の食べ物しかなく、
その度に、食費にまわした方がマシだと思っていた。

「待ちなさいよ、少しは私の買物に付き合ってくれてもいいでしょう。」

彼女も久々の街なので、色々と見て回りたいが、
なにせ今や注目の海賊団、彼女自身にも賞金がかけられているのだから、
1人で出歩くのは躊躇われた。
そこへルフィが付き合ってくれることになったのだが、
さっきからずっと肉肉肉肉肉肉肉肉 しか言わない。

「だぁってよぉ、服なんて着れりゃぁいいだろう?、
 それより旨いもの食べて栄養つけたほうがいいだろうよぉ。」

愚痴をこぼすルフィを無視し彼女は足早に店内を後にする。

『まったく、少しは気を使ってくれてもいいのに。』

少しだけ残念な気持ちになり、後ろからルフィが呼びかけるが、
それすら無視して、各店の商品を眺めながら歩いていく。
すると一軒の装飾店が、彼女の目に止まり、
ナミは自然とその店に入り、ルフィがまだ愚痴を言いながら、
店内に入ってきた。
店内は優雅な内装を施し、陳列された装飾品は、
煌びやか、の一言に尽きる。
ナミにとっては、良い目の保養にはなるが、
ルフィの腹の足しになどならない店だ。

「キレイねぇ・・・これ・・・盗って売ったらいくらになるかしら。」

目がベリーになるのは毎度のことで

「おい!」

っと冷静に突っ込むルフィもいつもの事だった。

そんないつもの出来ごと、変わらないやりとり

ある程度店内を見て回ったナミの目に、1つの商品が目についた。
それはこの旅では命綱とも言える、"記録指針"ログポースのベルトで、
普通のログポースはただの皮だけだが、
このベルトには、シンプルだが、しっかりとした装飾と刺繍が施されていた。

「へぇ、こんなの物もあるのねぇ。」

何気なく、値段を見ると、思ったよりも値が張る事に気づき、
一瞬躊躇うが、それよりも自らの生活用品の補充を優先する事を選んだ。

「ん?面白いな、こんな物まであるなんて、
 その色ならお前に似あいそうだな。」

ルフィがこういう類の物に興味を持つことは珍しく、
ましてや装飾品が似あうなどという台詞は、皆無に等しい。

「ダメよ、あんまり無駄使い出来ないんだからね。さっ他の店に行きましょう。」

それでも、ナミは少しだけ嬉しい気分になり、おしいと思うも、
次の店へと向かう。
しばらく歩きまた、別の洋服店に入り、
物色していると、ナミはルフィの姿がない事に気がついた。

「あれ?あいつどこにいったのよ?」

こんな可愛い娘をほっておいてと、思いながら店内を探すが
ルフィの姿は見当たらず、

「あぁいぃつぅ」
『そんなに私より肉がいいの!?』

せっかく選んだ洋服を乱雑に店内に戻し、そのままの勢いで通りにでる。
自然とルフィの姿を探すが、見当たらない。
怒りに身を任せ、歩き進んでいくと、
少し人通りの少ない路地へと入ってしまった。
身の危険を僅かに感じたのか、もと来た道を戻ろうと振りかえると、

「なぁ姉ちゃん、お前賞金首だろ?」

周りにはいつの間にか、5〜6人のならず者と思える男達が
ナミを囲んでいた。

『しまった、クリマ・タクトは船に置いてきた。』

ルフィが一緒だと言う安心感からか、彼女の唯一の武器を
船に置き忘れてきてしまった。

「へへ、こりゃいい、捕まえたら売り飛ばすまえに、
 俺達で楽しもうぜぇ。」
 
別の男が下品な笑い声をあげ、ナミに一歩近づく。

『隙を見つけてどうにか、逃げれないかしら。』

逃走経路を探すのは得意だが、あいにく土壁の家々は、
よじ登れる程の突起も無く、人の気配も無い、
完全に追い詰められ、思考していた時間は僅かでも、
彼らがナミに襲いかかるには十分な猶予を与えてしまった。

右後方からの、気配を察知し咄嗟に交わしたのは、
経験のなせる技だが、相手の連携にまでは敵わなず、
避けた先にあった、男の左拳がナミの横っぱらを捕え、
簡単に壁まで飛ばされてしまった。

「うっ・・・コホ・・・」

突然の衝撃に胚が酸素を吸う事も忘れ、
その場に崩れ落ちる。
ゆっくりと男達が近付き、一人の男が無造作にナミの髪の毛を掴み、
無理やり顔を上げさせる。

「なぁお嬢ちゃん、観念しな。」


   嫌な顔 この人を見下したような顔は


ペッ

「私をあんまり見くびらない事ね、
 あんた達見たいなクズに、許しを請うほど、
  温い人生歩んできてないのよ!!」


   大嫌い


ナミは意識せずとも大声で、彼らを威圧し、
その強気な姿勢に、男達もたじろぐばかりだが、
余計に彼らの怒りを増幅させただけ。

「へっ・・・そうかい、なら、死ねや!」

男が振り上げた拳を、ナミは見ずに、
襲ってくるであろう衝撃に耐えるように、瞳を閉じた。
その瞬間遠くの方から・・・


・・・ァ・・・ィ・・・


声が聞こえたと思った瞬間、
自分の正面で一陣の風が吹き、凄まじい轟音が成り響いた。
そして、今まで掴まれていた体は解放され、
無意識に、体が倒れないように、両の手で体を支える。
ナミの中にあった、恐怖は薄れ、安堵感が増していくが、
それでもまだナミは瞳を開こうとはしない。
いや、開く必要がない事を分かっているから・・・

「すまん 大丈夫だったか?ナミ。」

聞きなれた声 構えた腕は力強く 踏み込む足は逞しい

「遅いのよ、キャプテン」

ようやく開いた瞳の先には、相手を見据え身構えている
ルフィの姿があった。

「てめぇら・・・ナミに手を出して・・・」

スーーーーーーーーッ っと深く息を吸うルフィ

「タダで済むと思うなよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

先程のナミの声とは比べ物にならない位の大声は、
あたりの建物を振動させ、襲ってきた男共を震え上がらせ、
彼らはその場に座り込むしか無く。
その数秒後には、彼らの姿はこの場所には無かった。

「フン!」

鼻息荒く、呼吸を整え、ゆっくりとナミの方へ、歩くルフィ

「悪い、ちょっと買い物しに行ったら、戻れなくなっちまってな。」

必死に弁明をしようとするが、ナミは下を向いたままで、
ルフィの方を見ようとしない。

「やぁ〜、あれだけ人がいると迷子にもなるよなぁ、
 ゾロの事笑えないなぁ ハハハ ハハ ハ・・・」
 
なるべく明るく振舞おうとするが、まだ顔を上げないナミを心配になり、
彼女のもとへ、ゆっくりと腰をかがめる。

「怪我ぁしなかったか?ナミ?」

まだどこか痛むのか、絞り出すような声で、

「・・・ぃ」

か細い声で、答えたが、ルフィには聞きとれず、
余計に彼を心配させたが・・・

「ん?どっか怪我したのか!?ならチョッパーに早く!」

「遅い!って言ったのよ!この馬鹿野郎!」

ガープ中将並みの正拳突きが繰りだされ、ルフィの顔面に直撃した。

「なんだよお前!元気じゃねぇかよ!」

「黙りなさい・・・元はと言えばアンタが、
 勝手にいなくなるのが悪いんでしょ!」
 
「すいません」

この会話もいつもの事で、何かルフィが悪さをしたら
ナミが怒って、ルフィが謝る。

変わらない会話 変わらない関係

「もうせっかく二人・・・」

「ん?どした?」

「なんでもない!さっ帰ろう!」
『何言ってるんだろう、わたし・・・』

後悔と自責が入り混じり、もうナミは何を考えていいのか
わからなくなってしまったが、
そんな彼女の心を知ってか知らずか、
ルフィが声をかける。

「ちょっと待ってくれナミ」

「なによ?」

もうナミはルフィの方を向いてはいない。

「いいから、連れていきたい所があるんだ。」

その一言だけで、ルフィは素早くナミを抱きかかえ、

「ちょ!ちょっと待って!キャ!」

「時間がない!急ぐぞ!」

理由も告げずに、ルフィはナミを抱え走り出す。
通りを抜け 人混みを掻き分け 建物を飛び越え 
文字通り一直線に走り抜ける。

普通なら小一時間かかる道のりだが、
ルフィにかかれば、全て平坦な道に等しい、
ただし・・・常人のナミにとっては、
恐怖の連続でしかなかった。

「ほい 到着う」

「ハァ・・・ハァ・・・」

「大丈夫か?」

「殺す気か!」

再び正拳突きが決まる。

「で?どうしてこんな所に連れて来たのよ?」

そこはこの島で一番高い場所にあり、ぐるりと見まわしてみると、
先程までいた町並みは、おもちゃのように小さく見え、
さらにその先はもう海、小さく停泊したサウザンドサニー号が見える。
さらに後ろを向くと、少し小高い丘になり装飾が美しい展望台があった。

「お前に見せたいものがあってな、ほらこっちだ。」

優しくナミの手を引き、展望台がある所へ歩き始める。
高台とは思えない程に風は穏やかで、時々香る草花の匂いが、
先程までの喧騒が嘘だったように思え、
空を見上げると太陽が傾いてきている。
目当ての展望台に着くと、内部の装飾も見事で、これだけでも
歴史的価値が高いはずだが・・・

「それで?こんな所に連れてきたのはなんで?
 宝石や黄金があるのなら話は別よ?」
 
「へへ、違うけどな・・・でもそれ以上のものは見れるぜ。」

「はぁ・・・あんた馬鹿?この世に黄金と宝石以上にキレイものが」

「しっ 時間だぜ。」

そう言われナミは正面を見据える。
すると、今まで鮮やかな青色の海が、徐々に色が変化していくではないか、
その色は 赤 橙 黄 緑 青 藍 紫 と虹色を構成し、
それが波の動きで不思議な模様を描き出している。
そこへ、先程まで咲いていた花々が一斉に風に運ばれ、
見事な花吹雪となって、ナミの意識をさらっていった。

「・・・綺麗・・・」

どれだけその光景を眺めているのかわからない。
10分?15分?それとも10秒?15秒?
時間の感覚が分からない程に、彼女の意識は、
この光景に浸透し、自分の命と同等の大事なものが
外されている事にも気付いていなかった。

やがて、花びらは舞終わり、海に写し出されていた模様は、
元の海へと戻っていく。
そしてようやくナミは自分の左手に巻かれていた、
ログポースが無くなっている事に気がつく。

「え?大変!ルフィ!ログが!」

慌てるナミだが、それと対象的にルフィは少しだけ
照れ笑いをしながら、おもむろに彼女にある物を差し出す。

「ほら、これやるよ。」

手渡されたのは、先程自分が身につけていたと
思われるログポース、だが、ベルトの部分が明らかに変わっていて、
それは、先程自分が装飾店で眺めていた。
鮮やかに装飾されたベルトだった。

「どうしたのよこれ!?それにお金は!?」

「金はお前に貰ったお小遣いがあったしなぁ。」

予想外の反応をされ、ルフィは無意識のうちに、
頭を掻いている・・・

『ん〜喜ぶと思ったんだけどなぁ』
「どうしたと言われてもなぁ・・・俺の気持ち・・・
 じゃダメなのか?」

「え?」

突然告げられた言葉に、ナミはどう反応したかわからずに、
少し口をあけたまま、動けずにいて、
ただ、整えられた燈色の髪だけが、風に揺れている。

「俺、考えてみたら、お前のおかげで航海できてるのに、
 プレゼントらしい物ってぇ・・・あげた事無いと思ってな。」
 
ナミに渡したログポースをもう一度手にとり、
彼女の細い左手首に巻いてあげ、
そのまま手を離さずに、両の手でしっかりと握り続け・・・

「サンジみたいに上手く言えないけど・・・ずっと・・・
 俺の航海に付き合ってくれ!ナミ!」

ルフィの熱い思いが、握る手から伝わり、
ナミの身体は今にも爆発しそうな程熱く火照り、
慌てて握られた手を離そうとするが、ルフィがそれを許しては
くれない。

「バッカじゃないの?そんなの言われなくても判ってるわよ!」

素直に喜べない自分に苛立ちを隠せず、つい怒鳴ってしまうが、
いつものように笑い返すルフィの笑顔をみて、
ようやく、堰き止めていた思いを伝える決心がついた。
握られた手をそのままに、自らの身体をルフィに預ける。
遠くから見るとわからないが、ルフィの体にもまた、
幾多の戦の傷跡が刻まれていた。
少し顔を上げると、ルフィの顔が目の前にあり、
またいつものように笑っている。

   ズルいヤツ
     
「言ったでしょ?アンタの船の航海士は私だって。」
     
ナミは少しだけ、自分より背の高いルフィに届くように、
背伸びをして、自らの唇を重ね合わせる。

僅か数秒の出来ごとでも

     この瞬間は永遠
         
          自らが作り上げた美しき時間    

静かに唇を離し。真っすぐにルフィの目を見て、
お返しとばかりに頬笑み返すが、
今度はルフィの方が固まり、動けなくなっていた。
その様子があまりに可笑しくて、恥ずかしくて、
すぐに振りむき、歩き出す。
胸の鼓動は収まらず、体の火照りも消えない。
それでも彼女の心は晴れやかだった。

そして、いつもの自分に切り替え
まだ呆けているルフィに活をいれる。

「さっ早く買い物に行くわよ!付き合いなさいよ!ルフィ」

その一言で、ようやく我に返り、悪戯っぽくほほ笑むナミを見て、
彼もまた、経験した事のない高揚感に包まれていた。

「へへ、おう!まかせろ!」

「きゃ!ちょっとまた!?」

ルフィは再びナミを抱え、走り出す。
先ほどよりも早く走り 高く飛ぶ
それでもナミには恐怖感は芽生えなかった、
今はただ、力強く抱えてくれる彼の躍動を感じながら、
懐かしい気持ちに浸るだけ。

 

ベルメールさん

 

    帰ったら

 

      会わせるからね

 

END

 

 

 

 

〜後書き的ななにか〜


ぃぇ━━━ヾ(。・ω・)人(・ω・。)ノ━━━ぃ♪

厨二全開!
これ・・・まとまってるのかなぁ・・・
不安だ・・・

とりあえず書く度に長くなってますwww
戦闘の部分を書く予定は無かったんですが、
「カッコイイルフィが見たい」
というリクエストを貰ったので・・・
頑張りましたwww

形になってるかは別物ですがw

これでようやく2組完成
残りは・・・気長にやります♪

最後まで読んで頂いて本当にありがとうございました。
(*- -)(*_ _)ペコリ

 

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