キッドの受難

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「なんでこうなるんだよ。」
少し朱色に染まりり始めた空を見上げて呟いてしまう。
今日のこの日を楽しみにしていなかった、わけではないのに、
なんで上手くいかないのだろう。
一緒に歩いていたはずの彼女は一人先を走っている。
キッドは一人頭を垂れて、彼女の後を追った。

−−−−−−−−−−数日前−−−−−−−−−−−

「キッド入るぞ」

覆面の男キラーは一応ノックをして
我が船長の部屋へ入る。
そこには見渡す限りの拷問具や、
およそ普通の人間が見たら
嫌悪感を覚える代物ばかりだった。
それらの中に一人、机の上に本を広げたキッドが
熱心になにやら読みふけっている。

「どぉした?面白い記事でも書いて・・・」

そう言いながら近づくキラーが見たのは
北の海最新のファッション雑誌だった。

「キッド!何を見ているんだ!?」

とうとう本当に気が狂ったのかと思ったが・・・

「あぁ?丁度良かった、キラー、金を出せ。」
「何を言っている!?金を」
「いいから出すんだよ!俺の金だ!!」

キラーの決断は早く、すぐに金を取りにいった。
金くらいで殺されたくないからだ。

「一体何に使うつもりだ?人買いならいらんぞ?」
「けっ そんなつまらない事に使うかよ。ん?これじゃ足らんな。」
「足らんだと!?何を買うんだ!?」
「ふん、ただジュエリー・ボニーと会うだけだ。」

意識が遠のくキラー
あの大食いと?そりゃ金などいくらあっても足りないが
なんでだ?

「おいキラー!コッチとコッチ、どっちが俺に似合うよ?」

まいった本当に狂ったようだ。

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天気は上々 風は穏やか 人と待ちあわせるなら絶好の日だろう。
約束した通り、正午過ぎの待ち合わせ場所に
先に到着していたキッド。
彼の服装は最新のファッションだが
赤や黄色と、とにかく派手に色が混ざりあい
トレードマークの外套も色彩豊かなものだった。
その姿はまるで・・・

「おいお前!なんだその格好は?ドフラミンゴか!?」

彼の背後から、良く通る声が辺りへ響く。

「なんだと?殺されたいのか!?」

そう凄みを利かせ、いやおそらく本心だろう
殺気を放ちながら振りかえるキッド
するとそこには、普段の装いとは違い
薄い桃色のシャツにフリルの付いた白いミニスカートをはいた
ジュエリー・ボニーが腕を組んで立っていた。

「お前か・・・誰があんなセンスの無い野郎と一緒だ!?」
「うるさい まだアイツの方がましだよ。お前はまるで孔雀だ!」
「なんだと!てめぇ!」
「黙れ あたしは腹が減ってるんだ、何か食わせろよ。」

その迫力に何も言えず、
不承不承ながらも旨いい物を食べさせてやろうと
下調べしてある店へと向かうが

「ここじゃあ食べたくない。」

「昨日食べた。」

「大して旨くなかったぞここ。」

数時間程たったが、どこの店に連れて行っても
NO

なぜだ?食べる事が好きな奴が 食べ無いだと?
一人困惑するキッド
すると公園の方から微かだが、良い匂いが漂ってくる。
気がつくと同時にボニーは一人その匂いのするほうへ
駆け出して行ってしまった。

ゆっくりと後を追うキッド
そこには蛸の魚人がたこ焼き屋を開いていた。

「はぁ 散々嫌と言いながら、たこ焼きかよ・・・」

自分で恥を掻きたくないから服も揃え
店もボニーが気にいるように、良いところも探した。
だが、彼女の顔には一度も笑顔が無かった。
自分は何をしたかったんだ・・・
南の海で恐れられた自分が
たった一人の女も口説けないとは・・・
少しだけ憂鬱になっていると

そこへ

「おい!何してる?」

目の前には口の回りをソースで汚したボニーが立っていた。

「元気ねぇなぁ ほらこれ喰え!」

ボニーから差し出された、たこ焼きからは、香ばしい匂いが漂うが
それを堪能する間もなく口に無理やり入れられる。
が、確かに旨いたこ焼きだった。

「どうだ?」
「・・・」
「どうだ!?」
「旨いじゃねぇか。」
「へへ♪そうだろ♪」

そういいながら、ソースで口元を汚したボニーが
満面の笑みを見せていた。

(あぁ・・・俺はこれを見たくて、色々悩んだんだろうなぁ)
今さらに自ら動かされた心の気持ちに気がついたキッドだが

「もっとくれよ」
「あぁ・・・すまんなぁ 実はぁ」

何故か目をそらすボニー、すると蛸の魚人が大声で
二人の方へ何かを叫ぶ。

「おう!兄ちゃんすまんなぁ もう材料がないんだ。」

蛸の魚人も満面の笑みで叫ぶ、おそらく今日の売上以上に
売れたのだろう、だがキッドには関係の無い事だ。

「な!お前!全部食べたのか!?」
「やぁあんまり旨くってさぁ、ついつい食べきっちまうところだけど
 お前にも食べさせたくてな どうよ?私って優しいだろ?」
 
ボニーはその場で自らの優しさを強調するように
胸をはって、こちらを向いて立っている。満面の笑みを保ちながら。
 
もう言葉にもならない

近くの水道でハンカチを濡らし彼女の口をぬぐい綺麗にしてやる。

空はすっかり朱色に染まり始めていた。

「お?もうこんな時間かそろそろ戻らないと
 副船長がうるさいからな。」
「あ?もう帰るのかよ?まだ食い足りないだろうが?」
「仕方がないだろう?一応女の子ですから。」

軽くウィンクをし答えるが、キッドは納得するはずがなく。

「まだまだ旨い店だってあるんだぞ!?」

いきなりの別れに動揺するキッドを見てボニーがすっと
彼に近付く。

「じゃぁ、とびきり旨い店を探しておいてくれよ?」

そう言ったボニーの顔がキッド近づくと
すでに朱に染まった公園の地面には、
二つの影が一つに重なり合う瞬間が映し出されている。

僅か数秒 二人だけの朱い世界

「・・・今日は私のわがままにつきあってくれてありがとな。」

そう彼女は耳元で囁くと、独特の甘い香りを残しすぐに離れ
最高の笑顔でキッドと相対する。

「また遊ぼうな。」

そう言い残し、うっすらと残っている朱の道を駆け足で
駆けていってしまった。

「・・・またな・・・か」

自らの頬に残った彼女の感触を愛おしく思い
一人彼女が駆けて行った方を眺めている。

朱色に染まっていた空はすっかり闇色で染まり、
自分の頬の色など見えはしないが
仲間達・・・特にキラーには見られてはまずいと思い
顔の火照りを冷ますように
キッドは一人ゆっくりと歩き始めた。

 

 

〜以下後書き的な何か〜
どうも初めまして,whome_takeと申します。
(長いのでtakeでいいです。)
この度は、このような駄文を読んでくださって
ありがとうございました。
今回を書くにあたり、
手ブロでお世話になっている

お二方

 

 

ありがとうございました。

最初はキドボニの内容でしたがぁ
ボニキドっぽいですね(反省)
まぁ頭の中が腐って厨二なんで
お許し下さい。

とりあえず次を書く予定はあるようでないです。
ただ作った限りは何かを続けて行きたいと思っています。
完全な自己満足ですが
続くような事があれば
よろしくお願いします。

ちなみに感想なんか頂ければ
クソ泣いて喜びます

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